HOME > 趣意書

趣意書

 我が国は、人口構造が高齢化の一途をたどっており、それに伴い認知症の問題は我が国にとって最大の課題の一つとなっております。 認知症は本人だけでなく介護者にも多大な影響を与え、介護施設や介護職の不足から介護離職等が社会問題化してきております。

 したがって、認知症の根本治療薬の開発が強く望まれますが、研究は20年以上前から続けられているものの、今まで50件以上が失敗し困難を極めております。今までは、アミロイドベータ仮説が主流で、いかにアミロイドの蓄積を防ぐか、または除去するかが研究の主流となってきておりましたが、 最近の傾向に変化がありました。2017年独ハノーヴァーで開催されたシンポジウムでは、アルツハイマー病発症機序に関しアミロイド説に変わり、①DNAダメージ説、②細胞周期説、③ミエリン仮説などが提唱されました。

 私どもは、その中でもミエリン仮説に注目しています。今までニューロンの軸索を巻いているミエリン(髄鞘)の崩壊は、今までアミロイドβ蓄積の結果と考えられていましたが、最近の論文の傾向ではアミロイド蓄積の前に発生し、そのことが認知症発症のキーではないか、とされるようになってまいりました。すなわちこのことは、今まで研究の主体となりえなかったグリア細胞に脚光が浴びるようになってきたことを意味すると考えています。我々も今後の研究にはミエリンを含めたグリア細胞の研究も進めていきたいと思っております。

 もちろんフェルラ酸および包接フェルラ酸も認知症の予防やBPSD(認知症に伴う行動心理症状)に対し、大きな可能性を有しておりますので研究は継続することとし、 この度名称を「フェルラ酸・グリア研究会」に変更し新たに発足することに致しました。

 基礎研究者、臨床研究者の多くの先生方のご参加を心よりお待ちしております。


令和2年2月吉日 


熊本駅前木もれびの森心療内科精神科 
院長 木村 武実 

ページの先頭へ戻る